15年前。

2003年2月20日
15年前。


3歳だった。


家の周りに、たくさん蛇がいた。

まっくろな蛇や茶色の蛇だった。

飼ってた猫が蛇と戦ってた。

猫はモグラを持ち帰ってきたりもしてた。

家の中から庭を見ると、時々イタチや蛍がいた。

窓を開けて手をさしのべると、さっさと逃げて行った。


お祭りに行った。

ひよこを3匹買ってもらった。

撫でようとして潰してしまい、2匹死んだ。

あとの1匹は、何年かたつと成長してにわとりになった。

おばあちゃんだけに懐いた。

やたら長生きした。

他の家族やお客さんには、容赦なく蹴りを喰らわせていた。

庭に放されていると、怖くて家に入れなかった。

家族に、ぴっこちゃんがこんな性格になったのはお前のせいだと冗談混じりに責められた。


ひいおばあちゃんがいた。

色白で、両親とも日本人なのに目が青かった。

昔は学校の先生をしていたらしい。

どこかへいくとお土産を買ってきてくれるような、ひいおばあちゃんだった。

でも、ひいおばあちゃんは私をあまり好きじゃないらしかった。

ある日、ひいおばあちゃんのそばを通ると、手の甲が切れて血が出ていた。

痛かった。

泣きじゃくる私の声を聞いてお母さんが駆けつけてきた。

切られた、とは言わなかった。

ただ泣いた。

幼稚園に入る予定はなかったけど、来年は幼稚園に通おうね、ということになった。

お母さんは慌てて願書を書いた。

同じ年の夏、ひいおばあちゃんは死んだ。

家族は安堵していた。

妹が生まれた。


4歳になった。


幼稚園に入った私は、いつも先生に探されていた。

いつもどこかを一人でさまようか、職員室で本を読むかしかしていなかった。

見つかれば素直に教室に戻った。

髪の長い女の子と友達になった。

近所の男の子とも、友達だった。


送迎バスで家に帰ると、妹がいた。

抱き上げようとすると髪の毛を引っ張ってくる妹に、嫌気がさした。

ある日お母さんに、妹を風呂に入れるからちょっとの間見ててね、と言われた。

こんな浅いお湯で、溺れるわけないと思った。

ストーブの前に座り込んで、買ってもらった本を読んでいた。

妹は溺れた。

風呂場から泣き声が聞こえた。

気づかないふりをして、見捨てようと思った。

そのうちに泣き声がやんだけれど、そのままにしておいた。

妹が死ぬ前に、お母さんが気づいた。

妹は病院に運ばれて行った。

死ななかった。


5歳になった。


自転車を買ってもらった。

ピンク色だ。

何のキャラクターかよく分からない絵がかいてあった。

素直に喜んだ。

公園に行って、練習をした。

補助輪をつけたままだったから、すぐ乗れた。

得意になって走っていると、早速転んだ。


偶然、うちの猫と蛇が戦っているのを目撃した。

間に入って噛まれたり引っかかれたりするのは嫌だったので、少し離れたところから見ていた。

どっちが勝ったのかは忘れた。


6歳になった。


相変わらず行方不明になっていた。

補助輪なしでも自転車に乗れるようになった。

ガレージに捨ててあった乾燥機の中に入っていると、お母さんに入っちゃいけない、と注意された。

こっそりまた入っていると、また見つかってしまった。

こっぴどく叱られた。

幼稚園を卒業した。


それから10年。

もう、庭には蛇もイタチもモグラも蛍もでてこない。

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